投資を始めるにあたり、米国の高配当ETFの一つであるSPYDに注目が集まっています。SPYDは高い配当利回りが魅力ですが、一方でリスクや注意点も存在します。本記事では、SPYDの概要から配当金生活に必要な資金、そしてデメリットまで詳しく解説しています。投資を検討する際の参考にしてみてください。
SPYDとは何か?
SPYDは、米国の金融機関である「ステート・ストリート」が販売しているETFです。正式名称は「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」です。
SPYDは上場投資信託(ETF)の一種で、証券取引所で取引可能な投資信託です。ETFはリアルタイムでの売買ができ、運用コストが比較的安いことが特徴です。
SPYDは、高配当株式を中心に組み入れたポートフォリオを持つ高配当ETFです。他の高配当ETFにはVYMやHDVなどもあります。
SPYDは比較的新しいETFで、2015年に設立されました。しかし、高い配当実績を持ち、NISA成長投資枠でも購入可能です。NISA成長投資枠では、米国で課税される配当には税金がかかりません。
SPYDはS&P500の主要株式から高配当の80銘柄を選んで構成されていますが、組み入れ銘柄やセクター比率には注意が必要です。
SPYDはState Street社によって運営されており、純資産総額は68億ドルと非常に大きな金額です。そのため、多くの投資家がSPYDを信頼して選んでいます。
ただし、高配当利回り銘柄にはリスクも存在するため、単に高配当だけを基準に選ぶのではなく、注意が必要です。
SPYDの魅力と特徴
SPYDの投資には以下のような魅力と特徴があります。
高配当が期待できる
SPYDの最大の魅力は、高配当にあります。SPYDはS&P500の高配当な銘柄80社を均等配分しており、他の米国高配当ETFと比較しても高い配当利回りを示しています。これにより、高配当を得ることができるため、資本を増やすために再投資することも可能です。
運用コストが低い
SPYDは運用コストが低い点も魅力の一つです。長期的な運用を考えると、運用期間にかかる経費の差が重要です。SPYDの経費率は0.07%と非常に低いため、長期的な運用であってもコストを抑えることができます。
少額から投資できる
SPYDは新しいETFであり、価格もまだ大きく上がっていないため、少額からの投資に適しています。現在の価格は約38ドルであり、1株からの投資が可能です。これにより、初心者や少額投資を始めたい人にとって魅力的な選択肢となります。
不況に弱く景気変動の影響を受けやすい
SPYDは不動産や金融関連の株式が多く含まれており、景気変動の影響を受けやすいという特徴もあります。景気は周期的に変動するため、不況時に低価格で購入し、好況時に価格が上昇すれば利益を得ることができる可能性があります。
配当金重視の商品設計がされているため売却益は狙いにくい
SPYDは配当金を重視した商品設計がされており、株価の上昇を待って売却益を狙う運用には向いていません。他のETFと比較しても株価の伸びが限定的で、比較的安定した推移をする傾向があります。したがって、長期的に保有し、配当金を得ることに焦点を当てた運用に適しています。
SPYDの魅力と特徴を考慮した上で、投資を検討する際には自身の投資目的やリスク許容度に合わせて慎重に判断することが重要です。
SPYDの配当金生活に必要な資金
SPYDを利用して配当金生活を実現するためには、相当な資金が必要となります。投資額によって大きく異なりますが、ここでは参考までに、年間300万円の生活費を想定してみましょう。
年間300万円の生活費を確保するためには、約7250万円の投資資金が必要となります。この金額は、SPYDの配当利回りが約4%であることを考慮に入れて算出されたものです。ただし、税金も考慮する必要があります。日本と米国の税金を合わせると、約28.3%の税金がかかります。
具体的な金額を見てみましょう。
月の配当額 | 税引き前 | 税引き後 |
---|---|---|
10万円 | 3,000万円 | 4,184万円 |
15万円 | 4,500万円 | 6,275万円 |
20万円 | 6,000万円 | 8,367万円 |
25万円 | 7,500万円 | 10,458万円 |
30万円 | 9,000万円 | 12,550万円 |
この表から分かるように、受け取る配当金の金額に応じて必要な投資額も増えていきます。たとえば、月に10万円の配当金を受け取るには、3,000万円の投資が必要です。一方、月に30万円の配当金を受け取るには、9,000万円の投資が必要です。
SPYDだけで配当金生活を実現するには、6,000万円以上の投資が必要であり、容易なことではありません。ただし、この金額を貯めることができれば、年間約318万円の手取り収入を得ることができ、ある程度の生活を送ることができます。
ただし、配当金生活を達成するためには、十分な資本を準備するだけでなく、リスクやデメリットも考慮する必要があります。株価の変動や配当金の減少など、投資にはリスクがつきものです。また、SPYDは米国高配当ETFであり、為替リスクや海外経済の変動にも影響を受ける可能性があります。
配当金生活を目指す場合は、配当金の税務対策や収入の安定性を考慮し、他の収入源の確保や資産の分散化も検討する必要があります。また、個人のリスク許容度や目標に合わせた戦略の策定も重要です。専門家のアドバイスや情報収集を行い、自身の経済状況や目標に合った適切な投資戦略を作りましょう。
SPYDを活用した配当金生活を目指す場合は、十分な知識と情報を得て慎重な判断を行い、リスクを理解した上で行動することが重要です。自身の経済状況や目標に合わせた適切な投資戦略を立て、将来の安定した生活を実現しましょう。
SPYDの配当金生活のデメリット
SPYDには配当金生活を送る上でのいくつかのデメリットが存在します。以下にその詳細を説明します。
デメリット① 株価の上昇が困難
SPYDは株価の上昇が難しい投資手法です。配当利回り上位80社に均等に投資するため、配当利回りが下がると組み入れ銘柄から外されます。また、株価の上昇によっても配当利回りが下がり、組み入れから外れる可能性があります。そのため、株価の上昇が難しいと言えます。
デメリット② 成熟企業が多い
SPYDの組入銘柄は配当利回りが高い上位80社で構成されています。そのため、多くの銘柄が歴史が長く、成熟した企業であることが特徴です。安定性はありますが、企業成長の課題がある点がデメリットと言えます。
デメリット③ 投資銘柄数が少ない
SPYDの組入銘柄数は約80社です。他のETFと比較すると銘柄数が少なく、投資リスクが残ります。将来の配当金生活を80社に託すことはリスクが高いと言えます。
デメリット④ 歴史が浅い
SPYDの設定日は2015年10月21日です。リーマンショックを経験しておらず、大きな株価の暴落に対する値動きが確認できないため、その影響に対する不安が残ります。
デメリット⑤ 投資セクターは景気敏感株が多い
SPYDのコアセクターは景気敏感株が多く組み入っています。経済の景気変動に敏感なため、リセッション時には変動率が高くなる傾向があります。リセッション時のリスクに対して注意が必要です。
デメリット⑥ 米国課税が掛かる
SPYDへの投資による配当金は、米国課税が必要です。米国高配当株の配当金には約30%の税金がかかります。SPYDを活用した配当金生活を目指す場合、税金面も考慮する必要があります。
デメリット⑦ 為替の影響を受ける
SPYDへの投資は米国株であり、為替の影響を受ける要素があります。為替相場の変動によって投資額の受益や損失が変動します。特に、株価の下落と円高が重なった場合には、損失が大きくなる可能性があります。この点には注意が必要です。
以上が、SPYDの配当金生活のデメリットです。これらのデメリットを把握し、適切な投資戦略を検討することが重要です。投資はリスクを伴うものであるため、慎重な判断と情報収集が必要です。
SPYDの購入方法
SPYDを購入する際には、以下の方法があります。
NISA成長投資枠での購入
まずはNISA成長投資枠を利用することができます。NISA成長投資枠では、1年間に最大240万円(最大1,200万円まで)までの投資が可能です。さらに、ネット証券会社を利用すると、海外ETFの場合でも販売手数料無料のサービスが提供されています。
一般口座・特定口座での購入
NISA投資枠で株式の購入上限に達してしまった場合は、一般口座や特定口座を使用して購入することも可能です。ただし、海外ETFの配当には米国での課税があるため、日本国内でも2重課税が発生します。そのため、確定申告を行い外国税額控除を受ける必要があります。
定期的な積立による購入
SPYDの購入に際しては、定期的な積立投資を行うことをおすすめします。株価は上下に変動するため、一度に大量の購入をすると株価が下がった際に損失を被る可能性があります。そのため、株価が高い時には少量(例えば1株)を購入し、株価が下がった時に増えた相対的な数(例えば2株など)を購入することで、平均購入単価を下げることができます。
これらがSPYDを購入するための方法です。自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、最適な方法を選ぶことをおすすめします。
まとめ
SPYD は、高配当株式に投資できる魅力的な ETF ですが、デメリットにも注意が必要です。株価上昇が困難で、景気変動の影響を受けやすいという特徴があります。また、資金面でも配当金生活を実現するには相当な投資金額が必要です。このように SPYD は一長一短があるため、自身の投資目的やリスク許容度を十分に考慮し、慎重に検討する必要があります。SPYD の活用には専門家のアドバイスを得ながら、リスクを理解し、長期的な視点で取り組むことが重要です。
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